あっちこっち飛六法





やっと見つけたファンタラマの入り口、ペンキが塗り直してあってきれい。『ファンタジー』と『ジオラマ』の合成語?らしい。


右の案内看板には、「まわろまわろ世界25カ国の旅、ほんとうにほんとうに楽しい、世界のカンズメです。」と書いてある。


踊る人形たち。いっちゃっている?目つきが恐い


ハワイなのか?人形たちはみんな同じ、ストロボで撮影しているが、現場は結構暗い。


トンネルの入り口。消えかけているが「いらしゃい」と書いてある。


これは東京ディズニーランドの『It's a Small World』

  

ファンタラマ

1999.8月
 子供の頃に見た景色、出かけた場所が、強く印象に残ってしまっているという人は、多いと思う。我が家のエミにとってその一つが『那須ロイヤルセンター』内の『ファンタラマ』という施設だった。かなり小さい時に家族たちと出かけた旅行でここに寄ったそうだ。その時、世界中でこんなすばらしい場所は無いとさえ、思ったそうだ。わずかな小遣いの中から『絵葉書』を買い、現在も宝物の一つになっている。
 夏休みの旅行で那須へ行くことになり、那須ロイヤルセンターに立ち寄ることは最初に決めた。
 さて、その『ファンタラマ』に行った。大きな体育館の様な建物があり、それに円柱状の建物が併設されている。円柱状の建築物は上から見ると梅の花のように幾つかが集合した形になっているようだ。外から見ると使わなくなった植物園の温室の様な感じで、観葉植物が枯れかけていて、窓枠などの鉄の部分がことごとく錆びていた。
 体育館の方の入り口から入ると中はとてつも無く大きいゲームセンターになっていた。しかし、機械はまばらで多くが1〜2世代前のものである。まず、『ファンタラマ』を探す。
 その建物の一番奥まったところにやっと『入り口』を見つけた。「昔と変っていない!」と喜び、はしゃいでいたエミだが、変らないことの方が驚きだ。入り口の係のお年寄りに現金で一人¥300-を渡し、ゴンドラに乗る。ゴンドラは、6人乗り程の小型のボートで、ほぼ同じ幅の水路に浮いている。「危ないから、前の手すりにしっかりと捕まって下さい!」と言われ、ゴンドラは動き出した。ゴトンと大きな振動があった。揺れたのはその時だけだった。もちろん、他に客の姿は無い。
 ゴンドラと言うボートは、枯れた観葉植物の中を!そう先程見た植物園の様な場所が『夢』のファンタラマだったのだ。ゆっくりと水流に乗って進んでいくとトンネルになった。入り口には「いらしゃい」と書かれた跡が、何とか読み取れる。トンネル内にはサイケデリックなペイントの壁に色々な言語の挨拶がカタカナで書かれている。
 中は色々な国や民俗をテーマにしたコーナーになっていて、人形がそれらしい衣装を着て並んでいる。造られた時は踊ったり回ったりしただろう人形たちが、今は動いてもヒクヒクとまるで痙攣(けいれん)しているようだった。人形たちの表情はどれも上目遣いになっていて、衣装も貫頭衣の様なものばかり、「これは何処?」とつぶやいてしまった。街のセットも壊れ、倒れ、色は剥げ落ちていた。ヒクヒクしている人形たちの間をゴンドラが進んでいき、最後のコーナーには、世界平和を願っている?手をつなぐ人形たちが並び、「ファンタラマ〜 ファンタラマ〜 みんなのファンタラマ〜」と連呼する曲が流れている。再び、トンネルをくぐって、ゴンドラの乗降所に到着した。しばらくの間、「ファンタラマ〜」の声が頭の中で回っていた。

 まだ、東京ディズニーランドの無い時期に同じ様なものが、日本にあった事には驚かされる。米国のディズニーランドの『It's a Small World』を見て感動し、日本にもと造られたのだろう。きっと多くの子供に夢を与えたであろう『ファンタラマ』はこのあと一体どうなるのだろう。